「あんたに聞くわ、こんな変態水着また着させられたんやけど、男ってこれ見たらどないなるっちゅうねん」

｢曲、つくったんやけど聞いてくれへんか。ちょっと恥ずかしいけど笑わんと聞いてほしい。好きな人を思う歌を、うちが好きなあんたに聞いてほしい｣

「ちょっとそこに仰向けに寝ろや。ええか口開けーや。ブリブリブリブリブー」

あたしのほうが、パイズリ得意やねんで!

スレタイが完全脳内再生されたww

まあ さや姉があっして言うかは知らんけど関西の女子はあたし をあっして言うよね

席替えで憧れの山本彩が僕の前の席に来た。
僕は山本太郎と言うものだ。
勿論、彩とは名字が同じだけで、親戚でもなんでもない
僕はクラスメートの山本彩が大好きで、「彩」と心の中で呼んでいる。いつか本人に呼びたいなぁ。
しかし、席替えしてから10日間、僕は未だに山本彩と会話していない　
プリントを配付するときに少しだけ手が近い距離になるだけ、それ以上の事は何もできない
そんなある日の社会の時間。“事件”が起きた

社会の先生「じゃあ、次のページを山本、読んでくれ」
山本太郎「はい」
山本彩「はい」

なんと僕と彩が同時に返事をしてしまったのだ
クラスのみんなは大爆笑

社会の先生「あ、山本言うて、このクラスは二人おったやんね、フルネームは・・・」

山本太郎「太郎です」
山本彩「彩です」　

まとしても二人は同時に言ってしまい爆笑される
死ぬほど恥ずかしい
「お前ら、夫婦漫才やるには早過ぎんねんw」
「先生～、性の乱れの話は社会の時間でなく、次の保健体育の時間やと思いますw」
クラスの馬鹿どもが僕を茶化す
しかも次の時間は本当に保健体育だ
まぁ基本的に体育をやる予定で保健は雨天の場合のみ
今日は快晴だからありえないが
しかし、まぁ性的なジョークは幼稚園時代から女子と会話のない僕には重すぎる

さらに先生の・・・
社会の先生「あいつら二人、普段から仲ええみたいやなwうらやましぃなぁw俺も嫁はん欲しいわぁ」

人前に出るのすら恥ずかしく、女だけでなく男とすら会話できない僕が彩と仲良くできるはずがない　
高校入学から二週間、僕は早くもともだちの

高校入学から二週間、ぼくは早くも友達グループに入れず、ボッチな非リアだ
そんな僕からしたらクラスの中心の彩など雲の上の人以外の何者でもない
さらに社会の先生がとんでもない嫌がらせをしてきたのだ

社会の先生「じゃあ、山本お前ら二人で75ページ同時に読んでくれw」

酷い嫌がらせだ、僕はのび太並みのメンタルなのに
先生もクラスメートも僕が陰キャだとまだまだ認識できていない
なんせまだ入学から二週間だ、僕がボッチ系だと気付いていても、のび太レベルのメンタルだとはまだまだみんな気付いていない
そこらへんの非リアだと認識されているに過ぎず、深刻な非リアだとまでは思われていない

社会の先生「お前らの担任が入学から一週間で席替えした理由わかったわ、あいつらが黒幕の席替えかいw」

みんなは大爆笑
僕の人生で僕がこんなに注目されるのは初めてだ
本当に恥ずかしい

そしていよいよ本読みだ
みんなが僕らを見ている
彩は笑っているが、僕は笑えないまま本読みに

僕は彩と違うペースで読み、彩の声と被らない様にするつもりなのに、彩が僕の本読みのペースに合わせて声を意図的に重ねてくる
しかも、わざと被せてきたくせに「めっちゃ、被ったしw」とか言われたのだ
そしてみんな大笑い
しかし、クラスメートや芸人気質な社会の先生はおふざけ大好きなのは認識していたが、彩までこんなキャラだとは知らなかった

僕は本読みが終わると机にうつ伏せになった
僕は非リアなリアリストだ
男子とすら仲良くなれない僕が彩とやっていけるはずがない
早くこんなやりとりは終わりにしたい
切実に願った。早く家に帰りたい
やはりクラスメートは僕をさらに茶化す
そんな時にだ、野球部の“イチロー”こと鈴木一朗という野球部の補欠が授業中に弁当を食っているのが先生にバレて先生は激怒
イチローは「サーセン」しか言わない(すみませんの意味らしい)
あまりに社会の先生が怒鳴るからみんな悲壮な顔になってしまった
社会の先生は芸人気質だがモラルを欠いた人間には厳しいタイプなのである。
そんな時に何を思ったのか、彩が話かけてきた

みんなイチローと先生のやりとりに関わるのが嫌で黙っているのに、彩は話かけてきた

彩「あんさぁ、あんなん中学にも高校にも、めっちゃおるよな～？」

言葉が見つからない。何を言えば言い？

太郎「え、まぁ」

すると彩が・・
彩「野球ってみんなボウズやんなぁ、あっしは長い方が好き」
太郎「え・・・まぁ規則やしな」

僕の声は震えている
生まれて初めての女子との会話だ
気が狂いそうだ
クラスメートはさすがに、場の空気が空気だけに誰も茶化してこない
彩は先生が怒鳴ってるのにお構いなしに僕の髪を触ってきたのだ
彩「これってどこの美容室で切ってるん？」

美容室に行く男など僕の敵のリア充そのもの
別世界の人間だ
僕は近場の安い散髪屋しか行かないのだ
それにしとも彩に髪を触られて、僕は気絶しかねない

太郎「え？、まぁあっち行ったり、こっち行ったり」

僕は行きつけの店の名前を出したくないし、架空の店をでっちあげるのも嫌だ
だから曖昧な返事にした
そしたら彩は

彩「あー、こだわりあって店けっこう変えたりしてるんやぁ～★」

壮大な勘違いだ
僕は「店員と会話がゼロの店」が店を選ぶ基準であり、カット技術なんかどうでもいい

彩「あっしな、なんばウォークで見つけた店に行ってんねん、カットにブローにシャンプー付きで4000円やねん、すごない？？」

意味が分からない。何が凄いのか？わからない。美容室のレディース料金の相場も知らないから、何が何やらさっぱりわからない。
僕は2000円の店しか知らないから、仮に4000円が安いとしても、なんの驚きも喜びも湧かない
そもそも、“なんばウォーク”とはなんなのか・・・・
僕は大阪人だが、家と学校の往復しかしないから、なんばウォークと呼ばれても困る

彩「やっぱ技術も大事やけど、トークやんなぁ、正味な話」

太郎「え？トーク？、せ、せやな」

もう返せない。僕はトークをしない店を選んでるんだから、トークと言われても、
まぁ“トークをしない”が店撰びの基準だから“トークやんなぁ”と言ってくる彩と僕は同じ穴のムジナなのかもしれない

彩「うしろな、すかれすぎて髪が少ないやろ？なんか毎回微妙に仕上がりがちゃうねん」

太郎「う、うん、まぁ」

もう彩とは一生分しゃべった。もう会話は疲れた。しかし、さらに彩は僕の髪を握り

彩「いい感じやん、これ？ノンパ(ノンパーマ)なん？めっちゃいい感じやなぁ～」

僕パーマなんかあてるはずがない、これはいい感じの地毛に過ぎない。髪の色や質といい、僕は考えてみると髪質には恵まれている。顔もナチュラルなイケメン気味。
しかし、勉強は苦手で運動はのび太以下、メンタルものび太レベル
その上、席替え以来、授業を聞かずに彩の後ろ姿ばかり眺めてエロイ気分になってる変態だ。
しかしまぁ、僕は偏差値55くらいの微妙なイケメン
「イケメンに非リアな奴はいない」という偏見や勘違いがあるから、僕はあまりクラスメートからいじめられたりしないのかもしれない。
“暗くつまらなく、友達いないやつ”くらいの認識で留まりいじめまでは行かないのだ
彩からしたら“偏差値55くらいの微妙なイケメン”って感じが気に入ってる理由なのか？
しかも“イケメンはオシャレ”って固定観念で僕をオシャレだと勘違いしてるみたいだ

そしてさらに今回の流れで“面白くてオシャレ”だと勘違いしてるっぽい

彩「うしろな、触ってみて」
彩が僕の手を掴んで自分の髪に

彩「な？少ないやろ？アイロンとワックスで広がり持たせてんねんけど、朝しんどいっちゅうねん」

アイロン？ヘアアイロンを知らない僕からしたら、アイロンなどワイシャツを伸ばすアイロン以外の物を想像できない
ワックスと言われても、思いつくのは洗車のワックスくらいで髪のワックスなど知らない。
早くもボキャ貧で死にそうな僕。話してみると、やはり僕はリア充にはなれないのだと痛感した

彩「山本君の髪とあっしの髪を交換したいわw、ってか、リップないねんけど、おかしいなぁ、忘れたかも」

彩はリップクリームを探している

彩「あんさぁ、リップ貸してくれへん？あっしな、なんか忘れたっぽい」


信じられない。同級生の男からリップクリームを借りるのか？しかも僕みたいな陰気な変態から。
自分の人生の汚点になるよ？僕のリップクリームを使うなんて。
確かにモテる女の子は、看護師とかでも患者の体に自分の胸が当たったままで作業したり、美容室でもシャンプーの時に胸があたってても、気にせず作業したり、
テニススクールでも体が接触しちゃったり、するそうだが、僕は勿論そんな事は知らない。だから彩の言葉が信じられないまま、リップクリームを渡した。

彩「ありがとー★」　

彩は何度も何度もリップクリームをこする
僕は小学生の時にリコーダーを忘れて放課後に回収しに行った際に発作的に女子のリコーダーをなめたことがある
そんな変態リコーダー野郎な僕のリップクリームを使っている。
僕はリコーダーをなめた上に女子トイレで用を足して帰った最低野郎だとも知らずに
リップクリームを返した彩はさらに・・・

彩「これさぁ、午後ティー(午後の紅茶)やねんけど、なんかヤバない？味、違うくない？」
彩はペットボトルを僕に差し出す。
僕は非リア人間だから直感的に「ションベンでも入れたんちゃう？」などと思ってしまう。
しかし、状況的に、嫌がらの可能性は低い。僕はビクビクしながら彩のペットボトルを飲む

彩「な？なんかちゃうやろ？」


僕は息もできないくらい胸も頭も苦しい。そのせいか、午後の紅茶の味も普段と違うような気がして「うん、違う」などと言ってしまった

彩「やっぱそうやんなぁ？？？違うよなぁ？なんかな、みんな“一緒やん”って言うねん
やっぱ違うよなぁ」

“みんな”とは他のクラスメートのことなのか？僕はそんな質問をする気力すら残されていない
とにかく非リアボッチ童貞のび太な僕には信じられない事の連続であり、肉体も精神もかなり浪費している状態

彩「あ、山本君と間接キスしてもうたwwwえぇwwwwwwまだあっし16やのにぃwww」

そんなリア充的なジョークを言われても僕は返す言葉も思い付かないし、ノリもわからない。
ただただ気まずいだけである。

それにしても僕の心の天気は大雨で警報発令レベルに近いが、まさかまさか、外まで本当に曇ってきた。
次は体育であり、雨が降ると保健になる。
この流れで保健になると、彩と僕が再びネタにされる。
彩は悪ノリして楽しむつもりだろうけど、僕は耐えられない
なんとしても体育にならないと危険。
保健だけはヤバい
僕はのび太レベルの運動能力だから、体育は勿論嫌いだ。特にバレーボールだ。
サッカーや野球なら、グラウンドの隅にいれば済むが、バレーボールだと相手がサーブで僕を狙ってくる
運動音痴にバレーボールは拷問なのだ
しかし、そんなバレーボールの授業を熱望するほど、保健は嫌だ

彩「もっかい貸して」
彩はリップクリームをもう一度借りた。

彩「知っとった？リップクリームは横じゃなくて、縦に塗るのが正しい使い方らしいねんで」

そんなことはどうでもいい。僕は晴れるのを願うが、社会の授業が終わる頃に雨が降り始めた
社会というか、厳密に言えば日本史の授業だった
僕は日本史と現代文が好きな科目なのだが、今回の件で僕を茶化した日本史の先生に殺意みたいな感情が生まれたのだ。
そして日本史の先生はさらに

先生「保健の授業頑張ってなw」

イチローを叱り尽くしてフラストレーションから解放された先生は不敵な笑みを浮かべて、そう言ったのだ

休み時間に入ると体育の教師が教室に来た
教科書を持って来たから保健確定である。
クラスメートの馬鹿どもは予想通り僕を茶化しに来た
しかし、なんか変だ。本読みの時に笑ってた連中の一部は、あの時は笑っていたくせに今は不服な顔をしている
どうやら、イチローが叱られている間の僕ら二人のやり取りを見ていて、僕ら二人が恋仲、あるいは友人関係が成立していると解釈されてしまったみたいで、嫉妬しているみたいだ
人から交遊関係において嫉妬されるのは勿論初めてだ。しかも男女の関係だ。
優越感を少し感じたが、彩との関係は長く続くはずがない。だって僕はのび太だから。すぐにボロが出て化けの皮は剥がされる。それくらいは僕でも分かる
これを機にいじめられたら、それこそ退学まで考えないといけない事態に発展しかねない

僕は冷や汗をかいている、その時にチャイムが鳴る
死刑宣告にしか聞こえない悪夢
自分の人生の最大の修羅場が訪れる予感。
授業が始まった

先生「今日は24日やから、出席番号24の山本彩、“異性を意識する”の項目を読んで」

なんという破廉恥な教科書だ
日本の性教育も地に落ちたな。なんて思いも沸いたが、それよりも今日が24日で彩の出席番号と被ったことが不運としか言い様がない
彩はニコニコしながら読んでいる
中学の時はメチャメチャみんな恥ずかしがってたくせに、高校にもなると、みんな保健の授業で性的な冗談の1つや2つを言えるくらいに耐性がついてきているのだ
彩もその一人だ

先生「ほんなら、次の“射精による快感”を山本太郎読んでくれ」


耳を疑った。こんなゲスくて破廉恥な教科書も酷いが、なんで僕が当てられるのか
それに対する悪意を感じ憤りに拳が震えた
24番の次は14番、次に4番という順番に当てるのがこの先生の普段の当て方なのに、彩の次に後の席の僕を当てたのだ
今日が24日で彩を当てる口実ができたのも不運だが、同じ名字で後の席に僕がいたのは不運とか、そんな生易しいものでなく悲劇としか言い様がない
ひょっとしたら日本史の馬鹿教師が、体育の教師に、今回の事を報告したのかもしれない
出ないとこんな当て方はしない先生だ
いずれにせよ、修羅場からは逃げられない
恥ずかしがりの上に、状況が状況だ
僕は“射精による快感”を読む際に何度も言葉に詰まり、噛んでしまい、大恥をかいた

ようやく授業が終わる
彩を筆頭に女子連中のエロさと下品さを思い知った一日であった
僕は「男子はエロ。女子はエロが嫌い」という童貞特有の固定観念があっただけに、ほんとに驚いた。
まぁ何はともあれ弁当だ
彩「山本くん、一緒にご飯食べへん？」

冗談よせよと言いたい。もう嫌がらせは充分だろ。僕は心の中でつぶやく
彩だけでなくクラスの女子5人の輪の中に放り込まれた

「おw山本、ハーレムやんけwww」クラスの馬鹿男が茶化す

僕からしたらハーレムも何も裸でライオンの檻に放り込まれたとしか思えない状況である。
それにしても彩をはじめ、みんな金と手間をかけた弁当だ。
彩はフォークでリンゴを食べ、素手でサンドイッチを食べている
他の女子もフォークとスプーンばかり使っている

彩「ほうれん草うまぁぁ、あと野菜スティック最高」

彩は野菜ばかりの弁当だ
ピーマンやらセロリの野菜スティックなど、あまり見ないが彩は野菜スティックをうまそうに食べる

彩「うん♪いい味出してるっぽい」

・・・・・。
・・・僕の弁当は小学生が食べそうな小さいゼリーが2つに汚い卵焼き、ジャムが混じった白米である
戦後に家の貧しい子供は弁当の時間に弁当を隠しながら食べていたのは有名な話だが、僕もまさか実体験するはめになるとはね
とにかく自分の弁当が恥ずかしい
母は朝飯と弁当を同時進行で作るから、トーストのジャムが何かの拍子にごはんについたりするのだ
ジャム付きのごはんを彩が茶化す

彩「山本くんかわいいwww」
若いの間では「かわいい」を男にいい意味で使うらしいが、そんなことを知らない非リアの僕は「馬鹿にされた」としか思えなかった

彩「あっし、このゼリー、小学生の時に食べたことあるwww」
ジャム付きのごはんにゼリーを馬鹿にされた
なんか自分の母を馬鹿にされたみいで、不快だが彩をはじめ、周りの女子も特に悪意はなさそう
「自分が逆の立場でも、やっぱこの弁当いじるわな」とか勝手に自己完結しちゃう始末
そして一番馬鹿にされたのがオムライスである
オムライスは昨日の残り。白米があるにも関わらずオムライスをぶちこまれた。
炭水化物の重ね食いである
それも指摘されたが、ケチャップで「tarou」と書かれていたことで、いじられる

女子A「あっしも家の時にお母さんがハートとか書いたりするw」
女子B「あー、分かるwうちの家もやでw」
彩「でも、ケチャップ足りんから、改めてケチャップ上から追加するやんなw」

女子A「それそれw めっちゃ分かるw」

僕は場を立ち去りたくて急いで弁当を片付けた
それにしても今回の心労でクタクタ。
目眩もしてきたし、教室にこれ以上いたくないから、逃げる様に保健室へ。
ベッドでやっと解放された感に辿り着けた

山本彩「ガハハ！ほれ！チンポちゃん元気！シコシコ～♪シコシコ～♪」